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歩くことについて

例えば自転車に乗りさえすれば10分と掛からずに行けるところでも歩いていく。あまり遠くなると、公共交通機関に頼ってしまう訳だけれども、それは単に電車やバスが好きだからであって、また別の話になる。

何の話をしているのかというと、歩くことについて。街の音や地面の固さや熱を感じること、そして何よりもその場所を記憶に留めるということが、ほかのどの手段を用いたものと比して精度が高い。目的地がある場合、当然、そこに行くことが移動する最大の目的になる訳だけれど、その次くらいの目的として、その場所までの過程、あるいは、範囲を記憶に留めたいという欲求がある。だから車や電車で移動するときも余ほど疲れているか、勝手知ったる場所でない限りは寝たりしない。せっせと周りを見る。そしてそれを記憶する。別に暗記がしたい訳ではないし、テストがある訳でもないけれど、そうすることで、その存在を自分の中に少しだけしまうことができるのが何よりもうれしい。つまりは一種のコレクターだと思う。風景コレクター、というとちょっときれい過ぎるので場所コレクターというのが適当かも知れない。適当ではないかも知れない。

話を戻すと、それが歩くことによって、より強く刻まれる。そしてそれはなかなかに耐久性が高くて、時間とともに損なわれる量や質がとても低く抑えられる。だから時間さえ許せば、歩くようにしている。見当をつけながら道を選んで進んでいった先が、記憶の中の地図と重なっていたりすると楽しいし、間違っていたとしたらそれを補正していくのも楽しい。それが初めて歩く街であればなおさら。ちなみに写真を撮るということとはまた違うらしい。

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